お山のはなし 2

さらに道を進んだ分岐点で、道標の矢印がいったいどの道を指しているのかよくわからず、立ち尽くしていると、突然森の中からトレイルランナーが現れ、風のように走り去っていきました。もしかするとあれは山の神様であったかもしれないと思い、ランナーが走り去ったほうへ進むと、無事湘南平にたどり着きました。だんだんと、山頂の景色が見たいというよりは早くカルダモンロールを食べたいという気持ちが強くなっていたので、開けたところに出る一歩手前にある広場で、ごはんにしました。カルダモンロールは、卵やバターを感じるしっとりした生地が、ただのうずまきではない、すてきな形にぎゅっと編み込んでありました。カルダモンの、独特なさわやかな香りは、森の風景にぴったりだなあと思いました。

ひととおりお腹を満たしてから山頂の景色を楽しみ、また駅のほうへ戻ることにしました。下りの道は、横穴群経由と高田公園経由がありますが、高田公園経由で帰ることにしました。以前に横穴群経由で帰ったときに、やはり歩いている人が誰もいなくて、古代のお墓だったという穴がたくさんあいているところを通りすぎるのが急に怖くなり、不本意トレイルランニングで(小走りで)降りたことがあったからです。

しかし刺激を求めるタイプの場合、道の下り方として、脇目もふらず夢中で駆け下りる、というのはおもしろいかもしれません。あるいは崖を滑り降りるとか。行きに比べて帰りというのはややわくわく感が少ないイメージがありますから。

 

山道は、まだまだいろんな楽しみ方ができそうで、また歩きに行きたいなと思います。