お城のはなし

ここ数日涼しいのでほっとしますね。とてもありがたいですね。

そういえば小田原城へ行ったときの、かんじんのお城のはなしを書いていませんでした。

天守閣の中に入れるようになっていて、中は小田原城の歴史に関する博物館のようになっていました。順路に従って展示を見ながら上ってゆき、最後に展望台のように天守閣からの眺めを味わえるようなつくりになっていました。天守閣の中に入るのは初めてで、お城の歴史も大変おもしろく、勉強になりました。城主となり、天守閣からあたりを見渡したであろうかつてのお侍さんたちの気持ちになったつもりで眺めてみると、しみじみとするものがありました。天守閣。なんといっても名前がかっこよいです。今では数百円払えばわたしのようなへなちょこでもこの景色を味わえる。時代は変わったものだなあと思います。

北条氏のもとにあった小田原城が、秀吉軍に包囲されて最後には降伏を余儀なくされる、秀吉の一夜城伝説など、そのあたりのお話がとてもおもしろかったのですが、その解説できになる話がありました。それまでの兵士というのは、たいてい農民で、農業が本業なのでずっと戦に従事しているということができず、戦は短期で終わらせるしかなかった。秀吉はその経済力によりはじめて専門の兵士を用意することを可能にし、長期戦にもちこんで相手を降伏させたという話です。つまりそれまでは、ちょっとこれから田んぼが忙しいんで戦は無理ですとか、そういう世界だったのかなと思い、かなり驚きました。時代を巻き戻すことはできないけれど、戦争に関しては少なくとも秀吉以前に戻せたらよいのに、と心から思います。

 

そしてお城の建物についてですが、地震や火事や戦争やらで、そうとう何度も崩壊している。にもかかわらず、いまここにこの姿がある。もちろんお城を愛する人々の手によって何度も再建されてきたのですが、まるでお城じたいの運命によって息を吹き返しているような、ここに或るのだ、という意志のようなものすら感じました。思えば歴史というのはふしぎなものですね。ほとんどのものが変化し、姿を消していく中で、残ったり変わらないものがあるとしたら、それはすごいことなんだと思いました。

人の気持ちもそうなのかな。もしなにか、どうしたって変わらない気持ちがあるとしたら、それは天守閣からの眺めのようなすてきな景色を、いつか見せてくれるかもしれません。