ドーナツのはなし

ドーナツについてのアンソロジーのような本を読んでいたら、むしょうにドーナツが食べたくなってきました。

ドーナツは、実際たべると油で胸焼けがしたり、砂糖がまぶしてあって食べにくかったりするのですが、ドーナツのある風景に心惹かれるようなところもあり、どうしてか特別な魅力をもった存在です。そう感ずるのは私だけではないようです。

楽しかった日々や、大切にしていたものを失うと、心にはドーナツみたいに穴があいてしまいます。でも、傷ついたりすり減ったこころの凹みに音楽や詩がぴったりと沿うように、こころの穴のあいた場所は、いつしか愛おしさのような感情のすみかになるような気もします。

ドーナツの穴には愛があって、だからこそその形状に多くのひとが惹かれるのかもしれません。